大人の風疹が増えています。
患者の約8割が男性で、そのうち20~40代の成人男性に多く発症してます。
このグラフからも分かるように、昨年から急激に患者数が増えており、
今年は昨年を上回るペース(昨年同月比で約13倍)で患者数が増えています。
なぜ??どうして??? と驚くことではなく、
昔の風疹予防接種制度に大きく関係しているのです。
風疹の予防接種受けていない空白の時間が存在する
風疹の予防接種は1977年から始まり、将来妊娠する女性を対象に
中学生になった時に集団で予防接種が行われるようになりました。
しかし、1995年の風疹予防接種法の改正により、乳幼児期の男女に接種することになり、
この為、風疹の予防接種が受けられないブランクの年齢が生じました。
昭和54年4月2日~昭和62年10月1日に生まれの人です。
当時、救済措置として未接種の人は公費で受けられるようなっていましたが、
周知徹底されることなく救済時期が終わり、多くの男女が風疹の予防接種を受けていません。
これが、今大流行となっている原因なのです。
風疹の原因・症状について
風疹と言えば、「子供のうちになる病気」という認識が強いですよね。
風疹は麻疹と症状がよく似ていることから、別名「3日はしか」とも呼ばれています。
・ウィルス感染
【風疹の症状】
・発熱
・頭痛
・リンパ節の腫れ
・小さくて赤い発疹
(顔・耳後部から全身へ赤い点状の発疹が広がり、3~5日で消失)
子供の頃に罹っておくべき病気を大人になって罹患するとどうなるのか。
症状が重くなります。
子供の場合と比較すると、熱や発疹の数、リンパ節の腫れも酷くなります。
それでも3日~5日もすれば改善されてくるのですが、
ここで注意しなければならない最重要ポイントがあります。
妊娠初期の女性が風疹に罹患すると胎児に障害が
妊娠初期の妊婦が風疹に罹患すると、胎児に風疹ウィルスがうつり
赤ちゃんが障害を持って生まれてくることが多く、「先天性風疹症候群」と呼ばれています。
<3大症状>
・先天性心疾患(妊娠3か月以内で多く出現)
・白内障(妊娠3か月以内で多く出現)
・難聴(妊娠3か月以降でも出現)
<その他症状>
・網膜症
・肝脾腫
・血小板減少
・糖尿病
・発育遅延
・精神発達遅延
・小眼球
障害の発症率と重症度は、妊娠のどの時期に風疹に罹患したかによります。
母体が感染したら100%が胎児に感染するわけではなく、
・妊娠4週以内 30~50%
・妊娠5週~8週 25%
・妊娠9週~12週 20%
この程度だと言われています。
胎児を先天性風疹症候群から守るために出来ること。
それは風疹の抗体を調べることです。
子供の頃に風疹に罹っていたとしても、
大人になってから再度罹患することもあり得ます。
また、子供の頃に風疹の予防接種を受けていても、
その抗体が永久的に続かないこともあるのです。
前述の、風疹予防接種法改正の空白ブランクに該当する人で
予防接種を受けていない人は、受けておくべきですね。
そして、少しでも不安のある方は、
是非、医療機関で風疹の抗体検査を受けて下さい。
血液検査で抗体の有無が分かります。
そこで抗体がないことが判明したら、風疹予防接種を受けるようにしましょう。
妊娠を望む女性だけではありません。
男性も必ず受けるようにしましょう。
先天性風疹症候群は未然に防ぐことのできる病気なのですから。
風疹予防接種の費用は?
風疹予防接種を受けることにしました。
さて、費用はどのくらいかかるのでしょうか。
風疹の予防接種は公費負担はなく自費となります。
医療機関によって値段はまちまちなのですが、
だいたい風疹ワクチンは4000~6000円のところが多いようですね。
・妊娠中は予防接種が受けられない
・ワクチン接種後は約2か月間の避妊が必要
生ワクチンを使用する為、これは厳守してください。
あとがき
妊娠初期の時に血液検査で必ず風疹の抗体を調べます。
しかし、ここで抗体が無いことが判明しても予防接種は受けられません。
今年は去年を抜く勢いで患者数が増えています。
妊娠中に風疹に怯えながら過ごすことは胎児にも良いことではありません。
心身共に穏やかな妊婦ライフを過ごすためにも、妊娠を望むのであれば、
できるだけ早期に、夫婦ともに抗体を調べて対処をするようにしましょう。
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