気象庁は2014年の夏から冬にかけてエルニーニョ現象が
2009年以来5年ぶりに発生する可能性が高くなったと発表しました。
「エルニーニョ」何とも舌を噛みそうな言葉ですが、
エルニーニョ現象とはどんな現象なのか、
発生すると日本にどのような影響があるのかを見ていきましょう。
エルニーニョ現象を簡単に分かりやすくく
エルニーニョ現象とは、
太平洋赤道域(南米ペルー沖)の海面の水温が平年に比べて高くなり、
その状態が1年以上続く現象のことを言います。
なぜエルニーニョ現象が発生してしまうのかを、ザックリかんたんに説明します。

赤道近くのペルー沖では、普段は東から西へ貿易風が吹いている。
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太陽の熱で暖かくなっている海水がペルー沖からインドネシア沖へ移動。
↓
ペルー沖の海面上部にあった暖かい海水がなくなり、海水下部から
冷たい海水が上昇する。
↓
ペルー沖は冷たい海水、インドネシア沖は暖かい海水というように
広い太平洋では東西で海面温度に差が生じる。
↓
温かい海水が流れ込んだインドネシア沖では、暖かい空気が上昇し
たくさんの積乱雲が発生し、雨が多く降る状態に。
これが通常の東西の太平洋で起きている自然現象です。
ところが、何らかの原因で以下のことが起こります。

東から西へ吹く貿易風の力が弱くなり、
インドネシア沖の暖かい海水が、東側のペルー沖に移動する。
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ペルー沖では海底からの冷たい海水の上昇が抑えられ、
海面水温はいつもよりも上昇する。
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それと同時に、西側で発生した積乱雲も東側へと移動し、
海面温度が上昇したペルー沖では更に積乱雲が多く発生する。
このように、普段の自然現象とは真逆のことが起こり、
それが1年以上持続する現象をエルニーニョ現象といい、
エルニーニョ現象が発生すると、日本を含め世界的に天候異常が起こると言われています。
エルニーニョ現象がもたらす日本への影響
天候変化による影響
では、エルニーニョ現象が起こった場合、日本へはどんな影響があるのでしょうか?
エルニーニョ現象が起こると、
日本では日照不足の冷夏や暖冬となり、
「夏は暑くて冬は寒い」という四季の特徴が
弱くなる傾向にあります。
実際、5年前の2009年にエルニーニョ現象が起こった時には、
東日本が冷夏となり、全国的に暖冬になりました。
また、日本列島全体が暖かい湿った空気で包まれるため、
大雨が降りやすく、各地で平年以上の降水量が観測されました。
その為、2009年は梅雨明け発表のない地域が出たり、
中国や九州北部地方で集中豪雨や土砂崩れなどの豪雨災害が発生しました。
異常気象による災害に要注意
日本経済への影響
天候における影響は上記の通りですが、
では、冷夏・暖冬によって日本経済へはどのような影響が出るのかを挙げてみます。
冷夏におけるメリット・デメリット
・熱中症の患者数が減る
・食中毒による健康被害が減る
・エアコン等の電気使用量が減る
・テーマパークやアウトドア施設の客足が伸びる
・ビールや清涼飲料水の売り上げが落ちる
・夏物衣料の売り上げが落ちる
・エアコンなどの季節電化製品が売れない
・低温や日照不足により農作物が生育不良となる
・野菜の価格が高騰する
・低温に弱いコメの収穫が不足する
・降雨で海水浴の集客が落ちる
暖冬におけるメリット・デメリット
・熱中症の患者数が減る
・灯油や電気など暖房費が安くなる
・大雪による被害が減る
・屋外活動がしやすくなり外出の機会が増える
・テーマパークの客数が伸びる
・ビールや清涼飲料水の売り上げが落ちる
・冬物衣料の売り上げが落ちる
・暖房器具などの季節電化製品が売れない
・冬用タイヤなどの冬季限定商品の売り上げが落ちる
・桜などの開花が早くなる
・花粉の飛散が早くなる
エルニーニョ現象が起こると甚大が災害が起こる可能性があったり、
業績が落ちる企業や上がる企業が出てきたり、
私たちの日常生活にも何がしかの影響が出ると考えられます。
今後どうなるのかは、気象庁のエルニーニョ監視速報で
月に1度発表されていますので、気になる方はチェックしてみましょう。