風疹の大流行が止まりません。
国立感染研究所感染情報センターの発表によると、2011年の風疹患者数は371人、
2012年は2353人、そして2013年3月現在で既に1303人の患者数が報告されています。
そして、その半数が東京都で発生しており、特に成人男性の風疹罹患が目立っています。
これを受けて、東京都は風疹の予防接種費用を半額補助する方針を打ち出しました。
なぜ成人男性の間で風疹が大流行しているのか
2012年から急に風疹患者数が増えたのは、風疹の予防接種を受けていない
空白の期間にあたる人が罹患しているため。
風疹に罹る人は圧倒的に男性が多く、特に30代・40代の男性は要注意です。
風疹の予防接種は中学女子のみ対象で接種されていた時期があり、
法改正で現在は乳幼児期に男女共に接種するようになりましたが、
そのブランク時期にあたる人や、救済制度が設けられた時期があっても
学校接種ではなく任意接種だったために予防接種を受けずに成人した人たちが多いのです。
詳しくは以前の記事をご覧下さい。
>>風疹が大流行!25歳~35歳の人は要注意!!
風疹対策には予防接種が一番である
とにかく、風疹を予防するには予防接種を受けることが一番の対策となります。
風疹は夏に向けて流行する傾向があり、去年の患者数を超えそうな勢いで患者が増えている東京都では、これ以上の感染拡大を防止するために、予防接種の費用を半額補助する緊急対策を打ち出しました。
なぜ、これだけ風疹に敏感なのでしょうか。
それは、妊婦が風疹に罹患すると、胎児が風疹に感染して「先天性風疹症候群」の障害を持って生まれてくる可能性が高いからです。
先天性風疹症候群になると、心臓疾患や難聴、白内障などの障害が現れます。
風疹の抗体を持ち合わせない大人が増えたために、
先天性風疹症候群で生まれてくる子供が増えているのです。
ゆえに、厚生労働省も積極的に風疹の予防接種をするように呼びかけているのです。
風疹予防接種に関する疑問
風疹の予防接種に関してネット上で様々な質問がありましたので、
いくつかここでご紹介します。

はい。
予防接種を受けていても風疹になることはあります。
予防接種により十分な抗体が付いたので罹らなかった、もしくは
かかっても軽くで済んだということもあります。
また、抗体の持続期間は人により永久的ではありません。

個人差があります。
子供の頃の風疹に罹ったと親から聞かされていても、
記憶違いという可能性も十分にあり得ます。
また、実際に罹ってたとしても風疹に対抗できるだけの抗体が残っているかは
抗体を調べてみなければ分かりません。
心配の場合や、ご家族に妊婦さんがいる、もしくは今後赤ちゃんを望む場合は
一度病院で風疹の抗体検査を受けられると良いです。
そして、抗体値が低かった場合は予防接種を受けるようにしましょう。

はい。
子供の頃に罹る風疹は症状は余り重くありませんが、
妊娠初期の女性が罹患すると胎児に風疹ウィルスが感染し、
難聴や心臓疾患、眼病などの先天性風疹症候群の子供が
出生する確率が高くなります。

はい。
小児の頃にかかる風疹は重症化はしませんが、
大人になって罹患するとまれに脳炎や血小板減少性紫斑病など
重症化することがあります。
また、妊娠中の家族がいる時に風疹にかかってしまうと
妊婦さんに感染し、生まれてくる赤ちゃんが先天性風疹症候群として
出生する可能性があります。

30~50代前半の男性は5人に1人は風疹の免疫を持っていないことが判っています。
20代男性では10人に1人の確率で風疹の免疫がありません。
これまでに風疹の予防接種を受けた事が無い人は、
風疹ワクチンを接種することをお勧めします。
特に結婚して子供を望まれる場合は、できるだけ早く接種するようにしましょう。

妊娠中は風疹予防接種は受けられません。
風疹ワクチンは生ワクチンのため、妊婦は予防接種を受けられません。
その場合は同居する家族の方に風疹予防接種を受けてもらうようにしましょう。
家族経由で感染する可能性もありますので、できるだけ家に風疹ウィルスを
持ち帰らないよう対策を取りましょう。

予防接種の費用は病院によって異なります。
医療機関によって料金は異なりますが、だいたい4~6千円程度で受けられます。
また、事前に風疹の抗体値を調べてから接種する場合は、
血液検査代が必要になります。
あとがき
現在は乳幼児期から定期的に風疹ワクチンを接種するようになっているため、
20歳以下の風疹罹患率は予防接種のおかげで減少しています。
風疹は予防接種で防げる病気です。
妊婦が風疹にかかることの危険性を十分理解して、
風疹の予防接種を受けた経験のない世代の人たちには是非接種して欲しいと思います。
抗体検査も含めて自費で受けるとなると、それなりの料金がかかります。
この度は東京都で多数発症していることから、東京都は緊急措置として
半額を補助する方針を取っています。
他の都道府県でも一時的にでも東京都のような措置が取られれば、
積極的に接種しようと思う人が増えるのではないでしょうか。
>>妊娠初期に風疹に感染した時の、先天性風疹症候群の確立について